ハッチさんのブログ

Big smile please!

『今夜、ロマンス劇場で』を批判したーい!

んー,名作だろうか?(第一の問い)

究極の純愛モノと言えると言えば言えるのか?(第二の問い)

まだ恋愛経験の浅い,若い人たちにとって,ダメな方向付けをしてしまうのでは?(第三の問い)

 

 ネタバレ注意で簡略ストーリーを記すと,「映画制作会社に勤める坂口健太郎が,古い映画から出てきたヒロインで,人間と触れると消えてなくなってしまう,ある意味ゴーストの綾瀬はるかとの純愛に,映画制作会社社長ご令嬢の本田翼からの求愛をものともせずに,身を捧げてしまう」というものである。

 文末の「捧げてしまう」の「しまう」には,もう僕の主観というか,批判が表現されている。ゴーストをゴーストに見せない上手い撮り方がこの映画には隠されている気がするが,もちろん,綾瀬はるかが美しすぎて純粋すぎて,こんなに良い女から惚れられれば・・・という女優としての存在感の強さも,この無理矢理な夢物語を単なる夢にさせないことに大きく貢献している。

 

第一の問いについての私見

 恋愛対象と距離を置いたやりとりはあるが,手を握るどころか触れられない,チューもガラス越し,もちろん抱き合っての温もりの感じ合いも無理,エッチなんかとんでもない。この設定,換言すると気持ちや心の交流のみ!というプラトニックラブ的状況と言える。ネットで本映画のタイトル検索をすると,ファンタジーという語句が出てくる。なるほど,もしかすると,これをラブストーリーと見ている僕の感覚が間違っていたのかもしれない。現実的ではないところをラブファンタジーという枠でくくり,その枠内では名作であると言いたいのだろうか?

 いや,僕は反対する。ファンタジー枠だったとしても,あのラストは受け入れがたい。健太郎は死ぬまで,はるかへのひとすじな愛を貫くのだから,僕の目には抱けないゴースト女を選んでしまった男の悲劇にしか映らない。そもそも,こんながんじがらめのファンタジー設定では愛を語るべきじゃあない。一組のカップルがいろいろなからみがあってこそ,愛は深まるし,拡がるはず。こんな狭いテリトリーしかない男女のやりとりは,すでに「愛」の定義からも外れてしまっていると言える。

第二の問いについての私見

 純愛か否か。純愛の定義が揺れていると思う昨今,議論することがまず困難であろう。例えば,不倫の愛の中に純愛を見る人とそうでない人がいるのではないだろうか。暴論かもしれないが,不倫の中にも純愛を見る人にとって,この映画の中の純愛は,あまりに純粋な純愛である。ゆえに究極の純愛モノとは言えるのかもしれない。しかも,純愛の定義の一つに「肉体関係を伴わない愛」という言葉もある。この意味合いでは『今夜、ロマンス劇場で』はバッチリ純愛モノである。

第三の問いについての私見

 若者たちにダメな方向付けをしてしまうのでは?という危惧がある。まずは,先述したが,この映画はネット検索すると,ラブストーリーではなく,ラブファンタジー, ラブコメディというジャンルなのである。こんな現実離れした設定で,しかもコメディ的要素も含むこの作品に涙を流す人も多いという。現実派の僕は感涙は全くなかった。

しかも,吉本新喜劇のお笑いと感動のギャップで心を揺さぶられて泣くこともある僕が感動できなかったのである。

 やはり,愛はもっとどろどろした打算や,予想だにしない勘違い・思い込み・間違いや偶然のからみ,熱を感じるような喜怒哀楽の感情のぶつかり合いからの肉体的表現・接触・関係がある中をかき分けながら進む中で,より深くより厚く,より大きく育まれていくもののように感じる。主人公の二人がともに,一途すぎて,邪心もなく,ひたむきすぎるゆえに,純愛しすぎて,愛を構成する上記に挙げたモノが大きく欠けた中で恋愛が成就してしまうのである。

 僕は言いたい,「いやいや健太郎くん,あなたはエッチができなくていいの?肌の温もりを感じなくても満足?僕がもし,はるかほどの魅力的な女性に好意を寄せられてるとわかったら,その視覚から入る刺激によって,その魅力をもっと五感で,かつ全身で感じてみたいと思う衝動に負けてしまうと思う。この衝動を抑えるという自己犠牲を払ってまで,純愛を貫けませんよ。」と。

 そう,『今夜、ロマンス劇場で』は物語的に,この「純愛証明には自己犠牲を伴うものである」というような誤った考え方を,若い人たちに発信してしまっていないだろうか?もっと下世話でストレートな別な言い方をすると,「間違って好きな相手と触れ合ってしまったら,終わってしまう」「好きな気持ちだけで性衝動を起してしまったら,その相手を永遠に失ってしまう」ここに,ますます奥手な人は奥手のまま,人との接触を嫌う人は嫌ったままの方向性を助長してしまう,そんな隠れたメッセージがある!この映画が世の中に大きなマイナス効果を与えてしまっている。そんな思いがしますね~。若者よ,いや若者だけでない,僕を含めたバカ者よ,間違っていい!ヤッちゃっていい!生の人間を感じた上で愛を語ろう!

 

綾瀬はるか